「矜持(きょうじ)の精神を持つ」
これが私の生き方です。
「豊かさとは、何を持っているかではなく、どう振る舞うかに表れる」
という日本的な美意識を読み取ることもできます。
ただし、誇りを守るあまり、必要な助けさえ拒んでしまうという戒めの意味で使われることもあります。
そこに関して云ば、わたしも気をつけたいなと心に留めている言葉でもあります。
それが006のお話。
それでは007のお話を。
今コラムを読んでくださっている
貴方は
普段からナチュラルワインをこよなく愛し、家で愉しむことにも手を抜かず、お気に入りのレストランに
ワイン愛を確認しに行く
冒険家であるとしましょう。
そのレストランに週に一度の頻度で必ず訪れる顧客様だとします。
行くたびに、
同じ銘柄のワインが出てきたら...
そのワインの価格が半年でグラスワインの値段が上がっていたら...
どう思いますか?
お料理のポーションが
前と比べてあまりにも減っていたら...
或いは突然高くなったら...
どう感じますか?
では、このお店をA店としますね。
では、
もう1店舗よく通うお店があるとしましょう。
そこのお店には毎回新しい刺激のある
ワインやお料理が並びます。
お酒はどんどん空いて新しいものが
提案されます。
そして価格帯も1000〜3000円まで様々ですが、"これくらいのグラスワインの価格帯で楽しみたい"と伝えると理想のワインと納得の価格で
食事が出来るお店でもありながら、
知識やワイン通との会話も弾む店だとします。だからこそたまには1杯くらい高いグラスワインを勉強の為に飲む。
こちらがB店です。
貴方はどちらのお店に通いたいですか?
そしてA店でも、B店でも
楽しいひと時を過ごしたとしましょう。
帰り道、何を思いながら
帰路につきますか?
私は、飲食店の本当の価値は
お会計を済ませた後にこそ表れると思っています。
今日飲んだワインの余韻。
初めて知った葡萄品種。
料理との思いがけない出会い。
店主との何気ない会話。
そして、次に訪れる自分を想像できること。
もちろん、A店が悪くてB店が良い、
という単純なお話ではありません。
同じものを提供し続けることにも美学があり、
価格を上げなければ守れないものもあります。
ただ、私が問いたいのは
その選択の裏側にどれほどの矜持があるのかということです。
商売ですから、利益は必要です。
綺麗事だけではお店は続きません。
それでも、
利益のために誇りを売るような商いだけはしたくない。
限られた条件の中で知恵を絞り、
目の前のお客様にどれほどの誠意を尽くせるか。
豊かであることと、
豊かに振る舞うことは、必ずしも同じではありません。
「武士は食わねど高楊枝」
懐具合は見えずとも、
品格は振る舞いに表れる。
私はそんな日本人の美意識を、
これからも一杯のワインに込めていきたいと思っています。